3万人のうち、3人
人生で、本当に大切な人は何人いるのだろうか。
第1回で、こんな数字を紹介した。
- 30,000人:何らかの接点を持つ人
- 3,000人:顔と名前が一致する人
- 300人:定期的に会話する人
- 30人:親しく付き合う友人
- 3人:親友と呼べる人
3万人から始まって、最後は3人になる。
この「3人」は、どんな人だろうか。
5人に半分以上
ダンバーの研究を、もう一度思い出す。
人間は、社会的エネルギーの40〜58%を、最も親しい5人に使っている。
5人に、半分以上。
残りの人には、残りの半分を分け合う。
つまり、人間の心は、本能的に知っている。
すべての人と深く関わることは、できない。 だから、優先順位をつける。 大切な人に、エネルギーを集中させる。
この5人が、人生の中心になる。
何かあったとき、最初に連絡する人。 困っているとき、助けを求める人。 嬉しいとき、分かち合いたい人。
3万人は最大値
ここで、大切なことを確認する。
3万人という数字は、「最大値」だ。
80年の人生で、毎日1人の新しい人と出会う。 それが3万人。
でも、毎日新しい人と出会う人は、そう多くない。
家と職場の往復だけなら、出会いは限られる。 同じコミュニティにい続けるなら、顔ぶれは変わらない。
行動しなければ、3万人にも達しない。
引きこもっていれば、数百人かもしれない。 活動的に動けば、数万人になるかもしれない。
3万人は、可能性の数字だ。 行動によって、増えも減りもする。
3人は最小値ではない
では、3人という数字はどうか。
これは「最小値」ではない。
親友が3人いる人もいれば、1人の人もいる。 親友がいない人もいる。
数は、人によって違う。
ただ、ダンバーの研究は教えてくれる。
人間の脳が深い関係を維持できる限界は、せいぜい5人程度だ。 それ以上は、物理的に難しい。
だから、3人という数字は、妥当な目安かもしれない。
執着と3人の関係
ここで、第4回の話を思い出す。
執着しているとき、視野は狭くなる。 ひとりの人だけを見て、他の人が見えなくなる。
では、執着を手放すと、何が起きるか。
視野が広がる。 見えていなかった人が見えてくる。 新しい出会いに気づける。
そして、本当に大切な人が、見えてくる。
逆説的だが、こういうことだ。
執着しているとき、大切な人が見えなくなる。 執着を手放すと、大切な人が見えてくる。
3人の親友は、執着を手放したときに見えてくる。
「この人しかいない」と思い込んでいる間は、本当に大切な人に気づけない。
今の問題は、法則に従っているだけ
ここまで読んで、今の人間関係を振り返ってみる。
嫌いな人がいる。 苦手な人がいる。 うまくいかない関係がある。
それは、自然なことだ。
3万人の中には、合わない人が必ずいる。 全員と仲良くなることは、不可能だ。
だから、嫌いな人がいることは、法則に従っているだけ。
同じように、好きな人に嫌われることもある。 それも、法則に従っているだけ。
あなたにとっての「好き」が、相手にとっても「好き」とは限らない。 これは、確率の問題だ。
だから、気にしすぎなくていい。
嫌われたのは、あなたが悪いわけではない。 合わなかっただけだ。 法則に従っただけだ。
今、隣にいる人
最後に、ひとつの問いを。
今、隣にいる人は誰だろうか。
その人は、3万人のうちの何人目だろうか。 80億人の中から出会った、0.0004%の人だろうか。
その人を、大切にしているだろうか。
「縁があった」と思えているだろうか。 「一期一会」を意識しているだろうか。
それとも、別の誰かに執着して、隣の人が見えなくなっているだろうか。
結び
3万人のうち、3人。
3万人は、出会える最大値。 行動しなければ、減っていく。
3人は、縁が導く人たち。 執着を手放すと、見えてくる。
嫌われることもある。 それは法則に従っているだけ。
執着することもある。 でも、それは扉を閉ざしている。
今起きている問題は、法則に従っているだけ。
だから、気にしすぎなくていい。
そして、本当に大切な人は、3人くらいしかいない。
その3人は、執着を手放したときに見えてくる。
ここまでの気づき
- 人間は社会的エネルギーの半分以上を、最も親しい5人に使っている
- 3万人は「最大値」であり、行動しなければ減る
- 3人の親友は、執着を手放したときに見えてくる
- 今の問題は、法則に従っているだけ。だから気にしすぎなくていい
- 大切なのは「今、隣にいる人」を大切にすること
連載を終えて
5回にわたって、出会いの確率について考えてきた。
3万人という数字は、多いようで少ない。 3人という数字は、少ないようで十分だ。
嫌われることは避けられない。 でも、執着は選択できる。
この連載が、誰かの「手放し」のきっかけになれば嬉しい。
そして、「今、隣にいる人」に、少し優しくなれたら。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。