PMBOK-AI note連載 #248分で読めます

PMBOK-AI 1.0:外部の標準と自社の1年を突き合わせる

PMBOK-AI ・ AI PM ・ プロジェクトマネジメント ・ 生成AI ・ AIエージェント ・ AI活用 ・ 組織設計
PMBOK-AI 1.0:外部の標準と自社の1年を突き合わせる

PMBOK-AI 1.0:外部の標準と自社の1年を突き合わせる


いま起きていること

PMBOK-AI 1.0 は、標準ではない。1年分の運用の記録である。 この連載は当初、標準化を宣言する形で書かれていた。1年の実績と照らして、その言い方は先走っていた。ここでは、外部の標準や製品と自社の1年を突き合わせ、何が言えて何が言えないかを整理する。

自社の1年を、数字で示す。

  • 2025年12月27日から2026年10月14日までの利用は、3台合算で3,024,411メッセージ、5,059セッション、記録のある日は284日だった
  • 主力モデルは、Opus 4.5(12月27日)から Opus 5.5(9月23日)まで、約2か月ごとに替わった
  • AIへの任せ方は、事故やコストをきっかけに、4回変わった

(出典:自社のAI利用統計 2026-10-14 まで。利用量の計測は 2025-12-27 から。最初の案件は 2025-10 に着手)


PMの仕事で何が変わるか

外部の動きは、同じ1年の間に、次のように並んだ。

領域外部の動き日付
標準PMI が「ポートフォリオ、プログラム、プロジェクト管理におけるAIの標準」を公開。8つの指導原則、5つのパフォーマンス領域、ライフサイクルの枠組み。全段階で human-in-the-loop。技術非依存2026-06-09
標準PMBOK ガイド第8版(デジタル版)。二次情報による2025-11
資格新しい PMP 試験が開始。ビジネス環境の配分が8%から26%へ。AI は独立科目でなく場面設定の一部2026-07-09
製品Microsoft Agent 365 一般提供。自社・他社のエージェントを観測、統制、保護する管理基盤2026-05-01
製品OpenAI の ChatGPT Work。アプリやファイルをまたぎ、数時間のプロジェクトに取り組むエージェント2026-07-09
製品Anthropic の Claude Fable 5.1。数時間の非同期の作業、複数日の自律コーディングを想定2026-09-01
製品Google の Gemini agent。エージェントごとのID、役割ベースの権限、エージェント名義の監査ログ。報道では、案件ごとの支出上限も2026-10-08
接続MCP 仕様 2026-07-28 版。ステートレス化、認可の強化。非推奨化は最低12か月の猶予2026-07-28
規制EU:高リスク義務を延期(2027-12-02、2028-08-02)。透明性義務は2026-08-02から適用2026-07-27 施行
国内AI事業者ガイドライン第1.2版。エージェントの権限設定、人の判断を挟む仕組みを追記。人工知能基本計画(第Ⅱ期)を閣議決定2026-03-31、2026-07-14

(出典:各社・各機関の公式発表。PMBOK第8版は二次情報、Google の支出上限は報道による)

並べて分かるのは、外部が「枠」を整えていることだ。エージェントごとの権限、記録、上限、全段階での人の関与。どれも、自社が事故のたびに手作りしてきたものと同じ方向を向いている。

一方、外部の調査は、任せる量と成果の間に差があることも示す。2026年の McKinsey の調査では、売上10億ドル超の企業でエージェントを展開中の割合は27%から40%に増えた。80%が「AIで自分の生産性が上がった」と答えたのに対し、EBIT にプラスの寄与があった組織は37%で、前年からほぼ横ばいだった。展開の量と成果は、別の話である。

(出典:McKinsey「The state of AI in 2026: On the road to ROI」2026-08-25)


PMBOK-AIではこう扱う

自社の1年と外部を重ねると、次の4点が言える。

1. 枠は外部が整える。何を人に残すかは、使う側が決める。 権限や監査ログの機能があっても、削除、本番、外部送信、費用の4つを人に残すという線引きは、使う側が引く。自社の1年は、すべてに人を挟むとレビュー19周になり、何も挟まないと送金が流れる、という両側の実測だった。

2. 守らせ方は、手順から仕組みへ移る。 書いた規約は、AIにとって判断材料の1つにすぎない。承認ボタン、フック、権限を渡さない設計。守らないと先に進めない形にする。

3. 測ってから任せる。 正解が安定しているか、単純なルールで足りないか、外したときの損害は小さいか。メールの仕分けではAIを入れず、ニュースでは選別をやめて並べ替えにした。

4. 入力の質は、AIの賢さと関係なく結論を覆す。 解析の結論は、入力の取りこぼしで覆った。AIの結論が明快でも、入力の質は保証されない。

このうち、PMBOK 第8版や PMI の標準と、直接対応づけて言えるものは多くない。標準の個々の原則名は確認していないため、ここでは対応表を作らない。確かに言えるのは、人が全段階に関与するという方向が、標準と自社の運用で一致していることまでである。ただし自社は、関与を全段階に広げず、取り消せない操作と入力の質に集めた。


明日からやること

  • 自社のAI利用を、「取り消せる操作」と「取り消せない操作」に分け、後者を一覧にする
  • 外部の製品や標準が提供する権限・記録・上限の機能を、一覧のどの項目に効くかで照合する
  • 規制や標準の日程は動く前提で、台帳に持ち、更新担当を決める
  • 自社の運用を「標準」と名乗らず、日付つきの記録として残す。更新したら更新日を書く
  • 任せる前に測る項目(正解の安定度、ルールとの比較、外したときの損害)をチェックリスト化する

まとめ

外部の標準と製品は、権限・記録・上限という枠を整えつつある。どの操作を人に残すかを決めるのは、使う側である。PMBOK-AI 1.0 は、その決め方の1年分の記録であり、これからも更新される。

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