#25分

AI導入は「業務の棚卸し」から始まる ─ 現場を因数分解する

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AI導入は「業務の棚卸し」から始まる ─ 現場を因数分解する

AI導入は「業務の棚卸し」から始まる ─ 現場を因数分解する

「AIで何ができる?」は、問いの立て方が逆

AIを入れたいと思ったとき、多くの人はツールから調べ始める。何ができるのか、どの製品が優れているのか。

でも、この順番だと迷子になる。道具の機能は無数にあり、自社のどこに効くのかが見えないからだ。

正しい順番は、逆だ。まず自分の業務を分解し、そこから「AIで解ける部分」を探す。

シンプルとは、複雑なものを削ることではない。観察し、因数分解し、再構築することだ。AI導入も同じで、現場をよく見て、細かく割ってから、組み直す。


一つの業務を、工程に割る

因数分解の対象は、「大きな仕事」ではなく「一つの具体的な業務」だ。

たとえば「見積書を作る」という業務を、工程に割ってみる。

  • 過去の類似案件を探す
  • 必要な項目を転記する
  • 単価を調べて計算する
  • 体裁を整える
  • 内容が妥当か確認する
  • 承認を得る

一つの業務に見えていたものが、6つの工程に分かれた。ここまで割ると、見え方が変わる。

**「見積作成にAIは使えるか」ではなく、「どの工程にAIが効くか」**という、答えられる問いに変わるのだ。


各工程を、2種類に仕分ける

割った工程を、たった2つのラベルで仕分ける。

反復系 ─ 決まった手順の繰り返し。探す、転記する、計算する、整える。ここはAIが得意だ。

判断系 ─ 良し悪しや妥当性を決める。確認する、承認する。ここは人間が担う。

先ほどの見積作成なら、こう分かれる。

  • 過去案件を探す → 反復系(AI候補)
  • 項目を転記する → 反復系(AI候補)
  • 単価を計算する → 反復系(AI候補)
  • 体裁を整える → 反復系(AI候補)
  • 内容の妥当性確認 → 判断系(人)
  • 承認 → 判断系(人)

6工程のうち4つが、AIで軽くできる候補になった。全部を任せる必要はない。流れの中の一部を軽くするだけで、全体は確実に速くなる。


棚卸しは、機能から入らない

この作業のコツは、ツールの機能を一切見ずに進めることだ。

機能から入ると、「この機能で何ができるか」に思考が引っ張られ、現場の実態からズレる。だから順番はあくまで、現場を割る → 反復と判断に分ける → 反復系にだけ道具を当てる

紙とペンでいい。自分が今週やった業務を一つ選び、工程に割り、反復か判断かを書き込む。それだけで、AIを当てるべき場所が具体的に浮かび上がる。

派手な分析ツールはいらない。必要なのは、自分の仕事を他人の目で観察する姿勢だけだ。


まとめ:3つの洞察

  1. ツールより先に、業務を分解する

    • 「AIで何ができるか」ではなく「自分の業務のどこに効くか」から入る。問いの順番を逆にする
  2. 一つの業務を工程に割る

    • 曖昧な「大きな仕事」のままでは判断できない。6つ前後の工程に割ると、答えられる問いに変わる
  3. 反復系と判断系に仕分ける

    • 探す・転記・計算・整えるはAI候補、確認・承認は人。全部でなく、一部を軽くするだけで全体が速くなる

次回予告

棚卸しでAI候補の工程が見えた。では、そこに何を期待するか。

次回は、最初の一歩で狙うべきゴールの話だ。いきなり「人の置き換え」を目指すと折れる。まず狙うのは、もっと小さくて確実な成果である。


💬 あなたの担当業務を一つ、工程に割ってみると、いくつの工程に分かれそうですか?コメントで教えてください。