#55分

それでも、泳ぎ続ける

群れに逆らう一匹考え方生き方同調圧力エッセイ違和感俯瞰バブル崩壊

それでも、泳ぎ続ける

群れに戻るのか。

一人で泳ぐのか。


答えは、出ない。


でも、それでいい。

正解なんて、最初からなかった。


群れにいることも、選択。

一人で泳ぐことも、選択。

どちらも、間違いじゃない。


大事なのは、一つだけ。

「考えたかどうか」。


無思考と選択の違い

同じ群れの中にいても、2種類のイワシがいる。


1匹目。

隣に合わせて泳いでいる。 なぜその方向かは考えていない。 疑問もない。不安もない。 ただ、流れに乗っている。


2匹目。

隣に合わせて泳いでいる。 でも、「なぜこの方向か」は考えた。 一度離れて、全体を見た。 その上で、群れに戻ることを選んだ。


外から見ると、2匹は同じに見える。

同じ方向に、同じスピードで泳いでいる。


でも、中身はまったく違う。

1匹目は、考えていない。

2匹目は、考えた上で選んでいる。


この違いは、小さいようで、決定的に大きい。


考えることの効果

考えたからといって、何かが劇的に変わるわけではない。


給料は変わらない。

上司も変わらない。

通勤電車の混み具合も変わらない。


でも、一つだけ変わるものがある。

自分との関係だ。


「なぜこの会社にいるのか」を考えた人は、同じ会社にいても、いる理由を知っている。

「なぜこの方向に進むのか」を考えた人は、同じ道を歩いていても、歩く理由を知っている。


理由を知っていると、納得がある。

納得があると、不満が減る。

不満が減ると、不思議と力が出る。


考えることの効果は、外側ではなく内側に現れる。


群れの中で問い続ける

群れを離れなくても、考えることはできる。


隣のイワシに合わせながら、ふと考える。

「この方向、本当に正しいのか?」


会議に出ながら、ふと考える。

「このプロジェクト、本当に必要なのか?」


満員電車に揺られながら、ふと考える。

「この生活、本当に自分が望んだものなのか?」


考えたからといって、すぐに何かを変える必要はない。

転職しなくてもいい。 独立しなくてもいい。 群れを離れなくてもいい。


ただ、問いを持つ。

それだけでいい。


問いを持っている人は、盲目にならない。

群れが崖に向かい始めたとき、最初に気づけるのは、問いを持っている人だ。


あのイワシは、どうなったか

最初に逆走したイワシ。

あのイワシは、どうなっただろう。


群れに戻ったかもしれない。

一人で泳ぎ続けたかもしれない。

別の群れを見つけたかもしれない。


分からない。

でも、一つだけ確かなことがある。

あのイワシは、考えた。


隣に合わせるだけの毎日に、疑問を持った。

離れてみて、全体を見た。

群れが間違えることもあると知った。

気づいたことの孤独も、受け入れた。


その上で、泳ぎ続けることを選んだ。

どの方向に泳ぐにしても、自分で選んだ。


それだけで、十分だ。


あなたは今、どこにいるか

最後に、一つだけ問いを置いていく。


あなたは今、群れの中にいるだろうか。

それとも、少し離れたところにいるだろうか。


どちらでもいい。


ただ、たまには立ち止まってみてほしい。

周りを見渡してみてほしい。


「この方向、本当に正しいのか?」


その問いを持っているだけで、あなたは群れの中にいても、盲目ではない。

その問いを持っているだけで、一人でいても、迷子ではない。


ここまでの気づき

  • 群れにいても、考えた上で選んでいるなら、それは無思考とは違う
  • 考えることの効果は外側ではなく内側に現れる。納得が生まれる
  • 群れを離れなくても、問いを持ち続けることはできる
  • 問いを持つ人は、盲目にならない

連載を終えて

5回にわたって、群れと1匹のイワシについて考えてきた。


群れは楽だ。安全だ。 でも、方向を誰も確かめていないかもしれない。

離れると見える。 でも、失うものもある。

群れは間違える。 でも、一人ひとりは愚かではない。

気づくと孤独だ。 でも、孤独は考えた証拠だ。


答えは出なかった。

群れにいるべきか、離れるべきか。

その問いには、たぶん一生答えが出ない。


でも、それでいい。

答えが出ないことと、考えないことは、違う。


考え続ける。 問い続ける。 その上で、自分で選ぶ。

それが、群れに逆らった1匹が教えてくれたこと。


ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

あなたの「群れ」は、どこに向かっていますか?