#45分

気づいてしまった者の孤独

群れに逆らう一匹考え方生き方同調圧力エッセイ違和感俯瞰バブル崩壊

気づいてしまった者の孤独

気づいてしまった。

群れが向かう先が、もしかしたら、崖かもしれない。


でも、どうすればいい。


戻って伝える。

「みんな、その先は危ないかもしれない」


一人で逃げる。

「自分だけでも助かろう」


群れに戻る。

「気づかなかったことにしよう」


どれを選んでも、苦しい。

気づいてしまったことが、苦しい。


伝えても、聞いてもらえない

会社の会議で、おかしいと思ったことがある。

「このプロジェクト、方向性が間違ってませんか」


周りの反応。

沈黙。


「いや、もう決まったことだから」

「上が決めたことだし」

「まあ、やってみないと分からないし」


間違ってると思った。

でも、誰も賛同してくれなかった。

会議は予定通り進んだ。


数ヶ月後、プロジェクトは失敗した。

「あのとき言ったのに」とは思った。

でも、誰もそのことを覚えていなかった。


気づいて、伝えても、聞いてもらえない。

それどころか、空気を読まないやつだと思われる。


一人で逃げる罪悪感

群れが崖に向かっている。

自分だけ気づいた。

伝えても聞いてもらえない。


じゃあ、一人で逃げるか。


でも、罪悪感がある。

自分だけ助かっていいのか。

仲間を置いていくのか。


会社がおかしいと気づいて、転職した人がいる。

残った同僚のことが気になる。

「自分だけ逃げたのかもしれない」

その思いが、ずっと残る。


逃げることは、悪いことではない。

自分を守ることは、当然の権利だ。

頭では分かっている。


でも、心が追いつかないことがある。


気づかなかったことにする

一番楽な選択がある。

気づかなかったことにする。


群れに戻る。

隣のイワシに合わせる。

同じ方向に泳ぐ。


でも、一度見てしまったものは、消えない。


「この方向、危ないんじゃないか」

その思いが、泳ぐたびに浮かんでくる。

消そうとしても、消えない。


知らなければ、幸せだった。

群れの中で、安心して泳いでいられた。

でも、知ってしまった。


知ってしまったことは、知らなかったことにできない。

これが、気づいてしまった者の宿命だ。


「おかしくない?」が言えない

日常の中に、こういう場面がある。


飲み会で、誰かの悪口が始まる。

みんなが笑っている。

自分は笑えない。

「それ、ちょっとひどくない?」

言えない。


SNSで、みんなが叩いている人がいる。

自分は、そこまで悪いとは思えない。

でも、かばったら自分が叩かれる。

だから黙っている。


上司が、明らかに間違った指示を出している。

みんな従っている。

自分だけが「おかしい」と思っている。

でも、言えない。


「おかしくない?」

このたった一言が、なぜこんなに重いのだろう。


孤独は、悪いことではない

ここまで読んで、暗い気持ちになったかもしれない。

気づくことは苦しい。 伝えても聞いてもらえない。 逃げても罪悪感がある。 戻っても忘れられない。


でも、一つだけ言えることがある。

気づいたということは、考えたということだ。


考えなければ、気づかない。

気づかなければ、苦しまない。

苦しまなければ、楽だ。


でも、考えた。

隣のイワシに合わせるだけじゃなく、自分の頭で考えた。

それは、群れの中にいる何千匹の中で、たった1匹にしかできなかったこと。


孤独は、考えた証拠だ。

孤独は、自分の目で見た証拠だ。

孤独は、群れに流されなかった証拠だ。


それは、悪いことだろうか。


苦しいことと、悪いことは、違う。

孤独は苦しい。でも、悪くはない。


ここまでの気づき

  • 気づいて伝えても、聞いてもらえないことがある。それは空気を読まないこととは違う
  • 一人で逃げることは悪ではない。でも罪悪感は残る
  • 知ってしまったことは、知らなかったことにできない
  • 孤独は「考えた証拠」であり、悪いことではない

明日へ

気づいてしまった。

戻ることも、逃げることも、忘れることもできない。

じゃあ、どうする。

明日は最終回。

答えは出ないかもしれない。

でも、それでいいのかもしれない。