運がいい人は、新聞の読み方が違う
あなたは、自分のことを「運がいい」と思うだろうか。
「あの人は運がいいから」
「自分は昔から運が悪くて」
こういう言葉を、聞いたことがあるだろう。
あるいは、自分で言ったことがあるかもしれない。
「運がいい人」と「運が悪い人」。
その違いは、何だろう。
生まれつきのものだろうか。
星の巡り合わせだろうか。
前世の行いだろうか。
イギリスの心理学者リチャード・ワイズマンは、10年かけて、その違いを研究した。
新聞の実験
ワイズマンは、数百人の人を集めた。
「自分は運がいい」と思っている人と、「自分は運が悪い」と思っている人。
全員に新聞を渡した。
「この新聞に、写真が何枚あるか数えてください」
簡単な課題だ。
ページをめくりながら、写真を数えるだけ。
でも、この新聞には仕掛けがあった。
2ページ目に、大きな文字で広告が入っていた。
「数えるのをやめてください。この新聞には43枚の写真があります」
答えが、書いてあった。
結果はどうなったか。
「運がいい」と思っている人たちは、この広告に気づいた人が多かった。
「運が悪い」と思っている人たちは、必死に写真を数え続けた。広告が目に入らなかった。
さらに面白いことがある。
新聞の中盤にも、もう一つ広告が入っていた。
「この広告を見たと実験者に伝えれば、賞金がもらえます」
運がいいグループの方が、この広告にも気づいた。
運が悪いグループは、見逃した。
賞金が目の前に落ちていたのに、拾えなかった。
なぜ、差が生まれるのか
ワイズマンの結論は、シンプルだった。
「運がいい人」は、リラックスしている。
視野が広い。
目の前の課題だけでなく、周辺にも目が行く。
「運が悪い人」は、緊張している。
目の前のことに必死で、周辺が見えない。
写真を数えることに集中しすぎて、答えが書いてある広告が見えない。
賞金の広告も見えない。
これは、新聞の話だけだろうか。
日常でも、同じことが起きていないだろうか。
転職のチャンスが、目の前にあったかもしれない。
でも、今の仕事に必死で、気づけなかった。
いい出会いが、すぐそばにあったかもしれない。
でも、スマホの画面に集中していて、見えなかった。
面白いアイデアが、会話の中に落ちていたかもしれない。
でも、自分の考えを話すことに夢中で、聞こえなかった。
運は、降ってくるものか
ワイズマンの研究は、10年に及んだ。
その結論を、一言でまとめるとこうなる。
「運は性格ではない。行動パターンだ」
運がいい人が持っているのは、特別な能力ではない。
偶然に気づける「状態」だ。
運が悪い人に足りないのは、運ではない。
偶然が目の前にあっても、気づけない「状態」にいること。
つまり、運は空から降ってくるものではないのかもしれない。
足元に落ちているものを、拾えるかどうか。
その違いだけなのかもしれない。
ここまでの気づき
- 「運がいい人」は偶然に気づける状態にいる。「運が悪い人」は目の前に必死で、周辺が見えない
- ワイズマンの10年の研究が示したのは、「運は性格ではなく、行動パターンだ」ということ
- 運は降ってくるものではなく、足元に落ちているものを拾えるかどうかの違いかもしれない
明日へ
運がいい人は、偶然を拾える。
でも、それだけだろうか。
歴史上の「幸運」を調べると、面白いことが分かる。
偶然は、準備した人にしか来ない。
明日は、その話をしてみたい。