#24分

正しく考えているつもりで

人間はバグる認知バイアス確証バイアス哲学エッセイ思考意思決定
正しく考えているつもりで

正しく考えているつもりで

前回、人間はバグる、という話をした。


問題は、ここからだ。


私たちは、バグっていることに、気づけない。

むしろ「きちんと考えている」と思っているときほど、危ない。


バグは、自覚されないからこそ、バグなのだ。


二つの頭

心理学者ダニエル・カーネマンは、人間の思考を、二つに分けて考えた。


ひとつは、速い思考。

直感的で、ほとんど自動で動く。考えなくても、答えが浮かぶ。


もうひとつは、遅い思考。

じっくり、努力して、筋道を立てて考える。


この遅い思考は、エネルギーを使う。だから、脳はできるだけ、使いたがらない。


問題は、私たちが、ほとんどの判断を「速い思考」で済ませていることだ。


考えているつもりで、実は反射している。

直感で出た答えに、後から理由をつけているだけのことが、多い。


見たいものだけが、見える

人には、「確証バイアス」という癖がある。


自分の考えを、支える情報ばかりを集めてしまう。


反対の情報は、自然と目に入らない。

入ってきても、「これは例外だ」と軽く扱う。


ニュースを見ても、SNSを見ても、

「やっぱり自分は正しかった」と思える話ばかりが、頭に残る。


そう感じるとき、たいてい、世界の半分しか見ていない。

都合のいい半分だけを。


決めてから、理由を探す

私たちは、論理を積み上げて結論を出している、と思っている。


でも、順番が逆のことが、とても多い。


先に、感情で決める。

「なんとなく、こっちがいい」。


そのあとで、もっともらしい理由を、後付けする。


「これがいい」と感じてから、

「なぜなら」を、探し始める。


理屈は、決断の理由ではなく、

決断を正当化するための、言い訳かもしれない。


自分は理性で動いている、という思い込み。

それこそが、最初のバグなのだ。


ここまでの気づき

  • カーネマンの二つの思考。脳は努力のいる「遅い思考」を嫌い、ほとんどを「速い思考」で済ませる。考えているつもりで反射している
  • 確証バイアス。自分の考えを支える情報ばかり集め、反対の情報は「例外だ」と軽く扱う。世界の半分しか見ていない
  • 多くの場合、先に感情で決めて、あとから理由を後付けしている。「自分は理性で動く」という思い込みこそ、最初のバグ

明日へ

人間は、こんなにもバグる。


では、バグらない存在がいたら、どうだろう。

疲れず、感情で揺れず、いつも同じ答えを出すもの。

明日は、AIの話をしてみたい。