「自分は間違えない」という最大のバグ
ここまで、人間のバグの話をしてきた。
ここまで読んで、こう思った人もいるかもしれない。
「なるほど。バグる人も、いるよね」。
「人も」。
つまり、自分は、その外側にいる、と。
実は、それこそが、最大のバグだ。
知らない人ほど、自信がある
心理学に、「ダニング=クルーガー効果」という、有名な話がある。
能力の低い人ほど、自分を過大評価する、という現象だ。
なぜ、そんなことが起きるのか。
自分の能力が低いことを見抜くには、
そもそも、高い能力が必要だからだ。
知らないことを、知らない。
だから、こわいもの知らずで、自信に満ちている。
逆に、よく知っている人ほど、
「自分は、まだ分かっていないことがある」と感じている。
自信の大きさと、実力の大きさは、必ずしも一致しない。
むしろ、逆のことすら、ある。
自分だけは、例外だと思う
もうひとつ、面白い癖がある。
「バイアスの盲点」と呼ばれるものだ。
人は、他人がバイアスにかかっていることには、よく気づく。
「あの人は、思い込みが激しい」と。
でも、自分がかかっていることには、気づけない。
「自分は、客観的に見ているほうだ」。
そう思うこと自体が、すでにバイアスなのだ。
バイアスは、他人の額には見えるのに、
自分の額にあるものは、鏡なしには見えない。
考えているつもりが、いちばん危ない
何も考えていない人は、まだいい。
「自分は、よく分かっていない」と、知っているから。
謙虚に、人の話を聞ける。
危ないのは、中途半端に考えた人だ。
「自分は、ちゃんと考えた」と確信している。
だから、もう疑わない。人の意見も、聞かない。
そこで、思考が止まる。
バグを直すには、まず「自分はバグっているかもしれない」と思うこと。
その一点を認められない人が、いちばん深く、バグっている。
そして、たいてい、本人だけが、それに気づいていない。
ここまでの気づき
- ダニング=クルーガー効果。能力の低い人ほど自分を過大評価する。自分の低さを見抜くにも、高い能力が要るから
- バイアスの盲点。他人のバイアスには気づくが、自分のには気づけない。「自分は客観的」と思うこと自体がバイアス
- いちばん危ないのは「自分はちゃんと考えた」と確信して、疑うのをやめた人。バグを認められない人が、最も深くバグっている
明日へ
人間はバグる。そして、バグを認めない人ほど、深くバグる。
では、バグは、消すべき欠陥なのだろうか。
明日は、このシリーズの、最後の話を。