#44分

「自分は間違えない」という最大のバグ

人間はバグるメタ認知ダニングクルーガー哲学エッセイ思考謙虚さ
「自分は間違えない」という最大のバグ

「自分は間違えない」という最大のバグ

ここまで、人間のバグの話をしてきた。


ここまで読んで、こう思った人もいるかもしれない。


「なるほど。バグる人も、いるよね」。


「人も」。

つまり、自分は、その外側にいる、と。


実は、それこそが、最大のバグだ。


知らない人ほど、自信がある

心理学に、「ダニング=クルーガー効果」という、有名な話がある。


能力の低い人ほど、自分を過大評価する、という現象だ。


なぜ、そんなことが起きるのか。


自分の能力が低いことを見抜くには、

そもそも、高い能力が必要だからだ。


知らないことを、知らない。

だから、こわいもの知らずで、自信に満ちている。


逆に、よく知っている人ほど、

「自分は、まだ分かっていないことがある」と感じている。


自信の大きさと、実力の大きさは、必ずしも一致しない。

むしろ、逆のことすら、ある。


自分だけは、例外だと思う

もうひとつ、面白い癖がある。


「バイアスの盲点」と呼ばれるものだ。


人は、他人がバイアスにかかっていることには、よく気づく。

「あの人は、思い込みが激しい」と。


でも、自分がかかっていることには、気づけない。


「自分は、客観的に見ているほうだ」。

そう思うこと自体が、すでにバイアスなのだ。


バイアスは、他人の額には見えるのに、

自分の額にあるものは、鏡なしには見えない。


考えているつもりが、いちばん危ない

何も考えていない人は、まだいい。

「自分は、よく分かっていない」と、知っているから。

謙虚に、人の話を聞ける。


危ないのは、中途半端に考えた人だ。


「自分は、ちゃんと考えた」と確信している。

だから、もう疑わない。人の意見も、聞かない。


そこで、思考が止まる。


バグを直すには、まず「自分はバグっているかもしれない」と思うこと。


その一点を認められない人が、いちばん深く、バグっている。

そして、たいてい、本人だけが、それに気づいていない。


ここまでの気づき

  • ダニング=クルーガー効果。能力の低い人ほど自分を過大評価する。自分の低さを見抜くにも、高い能力が要るから
  • バイアスの盲点。他人のバイアスには気づくが、自分のには気づけない。「自分は客観的」と思うこと自体がバイアス
  • いちばん危ないのは「自分はちゃんと考えた」と確信して、疑うのをやめた人。バグを認められない人が、最も深くバグっている

明日へ

人間はバグる。そして、バグを認めない人ほど、深くバグる。


では、バグは、消すべき欠陥なのだろうか。

明日は、このシリーズの、最後の話を。