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AI PMのデータ統治:秘密をAIに見せない

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AI PMのデータ統治:秘密をAIに見せない

AI PMのデータ統治:秘密をAIに見せない


いま起きていること

AIに渡した情報は、AIの外にも届く。 パンダオフィスの記録から、2つの事実を挙げる。

  • 2026年9月24日:ホスティングの環境変数を、別の環境に複製しようとした。取り出してみると、中身ではなく、伏せ字の11文字が入っていた。この伏せ字を本物の値と思って複製し、プレビューの認証が通らなくなった。値の長さと文字の種類しか確かめておらず、伏せ字だと気づけなかった。
  • 2026年10月1日〜2日:別の作業で、外部サービスの鍵と認証トークンが必要になった。AIは、チャットにそのまま貼るよう案内し、「このやり取りはローカルで外部に送信されない」と説明した。これは誤りだった。チャットに入力した内容は、AIの運営会社のサーバーに送られる。AIは「第三者には転送しない」という意味で言ったが、そう伝わる書き方ではなかった。私が問いただして、AIが訂正した。

どちらも、AIが悪さをしたのではない。AIに何を見せるかを、人の側が決めていなかった。

外の動きも、この点に向かっている。2026年9月に発表された Claude Fable 5.1 は、既定で30日のデータ保持(安全監視のため)があり、条件を満たす企業はゼロデータ保持を選べる。国内では、総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」が2026年3月の第1.2版で、AIエージェントの権限設定と、人の判断を挟む仕組みを書き足した。EUでは、AI規則の第50条の透明性義務が、高リスク義務の延期の対象外として、2026年8月2日から適用されている。

(出典:自社の運用記録 2026-09-24、2026-10-01〜02/Anthropic「Claude Fable」/総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」2026-03-31/EU Regulation (EU) 2026/1744)


PMの仕事で何が変わるか

従来のデータ統治は、データの品質、保管、アクセス権を守る仕事だった。AIが入ると、もう1つの流れが加わる。人がAIに見せる情報の流れと、AIが外へ出す情報の流れである。

この2つの流れは、PMが日常の作業の中で決めている。チャットに何を貼るか。どのファイルを読ませるか。AIに実行させるコマンドに、どの値を含めるか。

秘密の値で言えば、問題は2つに分かれる。

  1. AIが値を見てしまう。 見せた時点で、保持されうる場所に入る。取り消せない
  2. AIが値を見ているつもりで、見ていない。 伏せ字を本物と思う。AIは出力が自然なので、間違いに気づきにくい

1つ目は「見せない」ことで防ぐ。2つ目は「見たと思い込まない」ことで防ぐ。どちらも、AIの賢さではなく、運用の線引きで決まる。


PMBOK-AIではこう扱う

パンダオフィスで決めたルールは、次の3つに絞られる。

1. 秘密の値は、AIに見せない。人が自分のターミナルで直接入力する。 鍵、トークン、パスワード、署名用の値は、AIに渡さずに設定できる形にしておく。AIが案内するのは、入力するコマンドまでである。値は、AIの画面に出ない。

2. 受け取る必要があるときは、先に明記する。 どうしてもチャットで受け取る場合は、「入力した内容は外部のサーバーに送られる」ことを、最初に書く。「外部に送信されない」といった断言はしない。

3. 別の環境へ値を写すときは、取り出さない。 取り出した値が伏せ字である可能性がある。別の環境への複製は、人が直接入れるか、複製元と一致する必要がない値は新しく作る。

もう1つ、記録の側がある。AIに何を見せ、AIが何を出したかを、あとから辿れるようにする。自社では、常駐プロセスの稼働ログと、AIの作業の記録を、日々残している。外部の業務用エージェントが、エージェント名義の監査ログを機能として提供しているのも、同じ必要からである。

社外にデータを出したくない場合は、手元のパソコンで動くモデルを使う選択肢もある。ただし、その場合も、何を読ませたかの記録は要る。

規制の日程は動く。EUの透明性義務は2026年8月2日から適用されるが、高リスク義務は延期された。日程の変更を追う仕事より、AIに何を見せ、何を出したかの記録を持つほうが、どの規制にも先に効く。この記録は、規制のためだけでなく、事故のあとで原因を辿るときにも使う。


明日からやること

  • AIに渡している秘密の値(鍵、トークン、パスワード)を書き出し、人が直接入力する形に変えられるかを確認する
  • チャットに秘密の値を貼らせる案内がないか、手順書とテンプレートを検索する
  • 環境間で値を複製する手順が、値を取り出す方法になっていないか確認する
  • AIに「入力した内容は外部に送られるか」を聞かれたときの回答を、事実に合わせて統一する
  • AIに見せたもの・出したものを辿れる記録(作業ログ、稼働ログ)があるかを確認する

まとめ

AIに渡した情報は、取り消せない。秘密の値は見せず、人が自分で入力する。受け取るなら、外部に送られることを先に言う。統治の最小形は、見せないことと、辿れることの2つである。

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