#36分

解凍の仕方で結果が変わる ─ プロンプトの本質

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第3回:解凍の仕方で結果が変わる ─ プロンプトの本質

「同じzipファイルでも、開き方で出てくるものが違う」


同じ質問なのに、答えが違う

こんな経験、ありませんか?

「マーケティングについて教えて」

→ 一般的な説明が返ってくる。教科書みたいな内容。

「BtoB SaaSのマーケティング戦略を、予算100万円で実行できるものを3つ教えて」

→ 具体的で実践的な答えが返ってくる。


同じAI。

同じzipファイル。

なのに、出てくるものが違う。

なぜか?

解凍の指示が違うから。


解凍の指示が違うから

zipファイルを開くとき、選択肢がある。

「全部解凍」もできる。

「一部だけ解凍」もできる。

「このフォルダだけ」「このファイルだけ」

指定できる。


AIへの質問も、同じだ。

「どこを解凍するか」を指示している。


曖昧な指示:

「マーケティングについて教えて」

→ マーケティング全体を、広く浅く解凍

→ 一般的な内容が出てくる


具体的な指示:

「BtoB SaaSのマーケティング戦略を、予算100万円で実行できるものを3つ教えて」

→ BtoB SaaS × マーケティング戦略 × 予算100万円 × 3つ

→ 狭く、深く解凍

→ 具体的な内容が出てくる


同じzipファイルから、違うものを取り出している。

指示が違うから。


プロンプト = 解凍の指示

「プロンプトエンジニアリング」

聞いたことありますか?

AIを上手に使うための技術、みたいに言われる。

難しそうに聞こえる。

でも、本質は簡単。

「どこを、どう解凍するか」の指示。


プロンプト = 解凍の指示

これだけ覚えておけばいい。


具体例を見てみよう。

曖昧なプロンプト

「プレゼンのコツを教えて」

→ 広く浅く解凍 → 一般論

具体的なプロンプト

「来週の役員会議で、新規事業の提案をします。役員は数字に厳しいです。10分で説得するためのプレゼン構成を教えて」

→ 役員会議 × 新規事業 × 数字重視 × 10分 × 説得

→ 狭く深く解凍 → 実践的なアドバイス


指示が具体的なほど、欲しい情報が出てくる。

当たり前だ。

「解凍する場所」を正確に指定しているから。


良い解凍指示のコツ

どうすれば、良い解凍指示(プロンプト)が書けるのか?

4つのポイントがある。


1. コンテキストを伝える

「あなたは誰で、何をしているか」

これを伝える。


悪い例:「メールの書き方を教えて」

良い例:「私は営業職で、初めての取引先にアポイントを取りたい。断られにくいメールの書き方を教えて」


コンテキストがあると、AIは「どの部分を解凍すべきか」が分かる。

営業 × 初回アポイント × 断られにくい

この交差点にある情報を解凍する。


2. 目的を伝える

「何のために使いたいか」

これを伝える。


悪い例:「競合分析をして」

良い例:「来月の戦略会議で使う競合分析をして。うちの商品との差別化ポイントを明確にしたい」


目的があると、解凍の「深さ」と「方向」が決まる。

戦略会議 × 差別化ポイント

この方向に深掘りする。


3. 形式を指定する

「どんな形で出力してほしいか」

これを指定する。


悪い例:「会議の議事録を整理して」

良い例:「会議の議事録を、決定事項・TODO・次回までの宿題の3つに分けて、箇条書きで整理して」


形式を指定すると、解凍結果の「見た目」が変わる。

同じ情報でも、整理されて出てくる。


4. 役割を与える

「あなたは〇〇として答えて」

これを伝える。


悪い例:「事業計画のアドバイスをして」

良い例:「あなたはベンチャーキャピタリストです。この事業計画の弱点を3つ指摘して」


役割を与えると、解凍の「視点」が変わる。

VC目線 × 弱点 × 3つ

この角度から情報を解凍する。


これらは全部「解凍の範囲と方法」を指定している

コンテキスト = どの領域を解凍するか

目的 = どの方向に深掘りするか

形式 = どう整理して出力するか

役割 = どの視点から見るか


プロンプトエンジニアリングは、難しい技術じゃない。

「解凍の仕方」を具体的に指示しているだけ。


解凍できないものは出てこない

ただし、大事な注意点がある。

どんなに上手に指示しても、入っていないものは出てこない。


zipファイルに入っていないファイルは、どう指定しても解凍できない。

AIも同じ。

最新情報は出てこない。

あなただけが知っている情報は出てこない。

圧縮されていないマイナー情報は出てこない。


プロンプトは万能じゃない。

「ある情報を、うまく引き出す」のがプロンプト。

「ない情報を、作り出す」ことはできない。


だから、AIに質問するときは、こう考える。

「これは圧縮されているか?」

圧縮されていそうな情報 → プロンプトで上手に引き出す

圧縮されていなさそうな情報 → 自分で調べる、または情報を与える


今回の3つの洞察

  1. プロンプト = 解凍の指示

    • どこを、どう解凍するかを指示している
  2. 具体的な指示 → 具体的な結果

    • コンテキスト、目的、形式、役割を伝える
  3. 入っていないものは、どう指示しても出てこない

    • プロンプトは万能じゃない。限界を知る

次回予告

プロンプトの本質が分かった。

解凍の指示を上手にすれば、欲しい情報が引き出せる。

でも、限界もある。

圧縮できないものがある。

今の瞬間。

あなただけの経験。

まだ存在しない未来。

責任を取ること。

これらは、どうやっても圧縮できない。

次回は、AIの「本質的な限界」を見ていく。

そして、「人間の価値」を再定義する。


次回:「圧縮できないもの ─ AIの本質的限界」