第1回: 生成AIは「生成」に特化している
人間のMCP化 ─ AIに使われる側にならないために①
「AIに仕事を任せよう」
YouTubeを開くと、こんな動画が並んでいる。
「ChatGPTで業務効率10倍」
「AIに丸投げで月収100万」
「もう人間は働かなくていい」
本当だろうか。
「生成」AIという名前
ここで、一つ確認したいことがある。
ChatGPT、Claude、Gemini。
これらは「生成AI」と呼ばれている。
生成AI。
この名前には意味がある。
生成AIの本質
生成AIは、大量のデータからパターンを学習する。
そして、そのパターンに基づいて「それらしいもの」を生成する。
文章を生成する。
画像を生成する。
コードを生成する。
「生成」に特化している。
だから「生成AI」という名前なのだ。
できること、苦手なこと
生成AIが得意なことを見てみる。
得意なこと
- 文章の作成(記事、メール、レポート)
- アイデア出し(ブレインストーミング)
- 要約(長文を短くまとめる)
- 翻訳(言語間の変換)
- コード生成(プログラムの雛形)
共通点がある。
「正解が一つに決まらない」タスクだ。
では、苦手なことは何か。
苦手なこと
- 正確な計算(掛け算、割り算)
- データ集計(合計、平均、分析)
- 論理的検証(矛盾のチェック)
- 事実確認(実在するかどうか)
- 再現性のある処理
共通点がある。
「正解が一つに決まる」タスクだ。
なぜ計算が苦手なのか
生成AIは、文字を「確率的に」生成している。
「1+1」の答えを計算しているのではない。
「1+1の後に来る文字は、2である確率が高い」と予測している。
だから、複雑な計算になると間違える。
「123 × 456」は?
生成AIは、この計算を「している」のではない。
「それらしい数字」を「生成」しているだけだ。
万能という幻想
「AIは何でもできる」
この認識は、危険だ。
生成AIは、生成に特化したツール。
計算に特化したツールではない。
論理検証に特化したツールでもない。
ドライバーでネジは回せる。
でも、釘は打てない。
道具には、得意・不得意がある。
なぜ「何でもできる」と思うのか
理由は、インターフェースにある。
ChatGPTは、どんな質問にも答えてくれる。
計算を頼んでも、答えを返してくれる。
データ分析を頼んでも、それらしい結果を返してくれる。
「返してくれる」から、「できる」と思ってしまう。
でも、「返す」と「正しく処理する」は違う。
ここまでの気づき
1. 生成AIは「生成」に特化している 名前の通り、パターンから「それらしいもの」を生成するツール。
2. 得意なのは「正解がない」タスク 文章作成、アイデア出し、要約、翻訳など。
3. 苦手なのは「正解がある」タスク 計算、集計、論理検証、事実確認など。
次回
生成AIには、苦手なことがある。
では、その苦手な領域は、何を使えばいいのか。
データ集計をChatGPTにやらせている人がいる。
なぜExcelの関数を使わないのか。
次回: Excelの関数が正解な場面 ─ 決定論的ツールの価値