#25分

第1の3-4日後

生成AIChatGPTAI活用AIリテラシー効率化テクノロジーExcel適材適所

第2回: Excelの関数が正解な場面

人間のMCP化 ─ AIに使われる側にならないために②


データ集計をChatGPTにやらせている人がいる。


売上データをコピペして、「合計を出して」と頼む。

顧客リストを貼り付けて、「重複を削除して」と指示する。


なぜ、Excelの関数を使わないのだろうか。


生成AIは計算が苦手

前回、生成AIは「生成」に特化していると書いた。

計算は、苦手な領域だ。


どれくらい苦手なのか。


実験してみる。

「47,832 × 156 は?」


生成AIに聞くと、答えを返してくれる。

でも、その答えは正しいとは限らない。


Excelなら、=47832*156 と入力するだけで、必ず正しい答えが返る。

7,461,792。


決定論的 vs 確率的

ここで、二つの概念を整理する。


決定論的

  • 同じ入力なら、必ず同じ出力
  • 計算過程が追える
  • 誰がやっても同じ結果
  • 例:Excel関数、プログラム、電卓

確率的

  • 同じ入力でも、異なる出力の可能性
  • 計算過程がブラックボックス
  • 毎回結果が変わりうる
  • 例:生成AI

生成AIは、確率的だ。

Excelは、決定論的だ。


検証可能性という価値

決定論的ツールには、大きな価値がある。


検証可能性だ。


Excelの関数は、計算過程が見える。

=SUM(A1:A100) と書けば、A1からA100を足していることが分かる。


生成AIは、計算過程が見えない。

「合計は〇〇です」と返ってきても、どう計算したか分からない。


間違っていても、気づけない。


適材適所の判断基準

では、どちらを使えばいいのか。


判断基準は、シンプルだ。


「正解が一つに決まる」タスク → 決定論的ツール(Excel、関数、プログラム)

「正解がない」タスク → 生成AI


データ集計、売上計算、在庫管理。

これらは「正解が一つに決まる」。

Excelの関数が正解だ。


企画書の草案、アイデア出し、文章のブラッシュアップ。

これらは「正解がない」。

生成AIが向いている。


なぜExcelを使わないのか

それでも、生成AIにデータ集計をさせる人がいる。


なぜか。


考えられる理由がある。


1. 関数を知らない SUM、VLOOKUP、IF。関数を学ぶ手間を避けている。

2. AIの方が「新しい」と思っている 最新ツールを使うことが、効率的だと信じている。

3. 万能だと思っている 生成AIは何でもできる、という幻想。


どれも、道具の特性を理解していない。


道具の組み合わせ

生成AIとExcelは、敵対するものではない。


組み合わせれば、強力になる。


例:売上レポート作成

  1. データ集計 → Excel(正確な計算)
  2. グラフ作成 → Excel(可視化)
  3. レポート文章 → 生成AI(要約、コメント生成)
  4. 体裁調整 → 人間(最終判断)

それぞれの道具を、得意な領域で使う。

これが適材適所だ。


「AIでやる」という自己目的化

気をつけたいことがある。


「AIでやること」が目的になっていないか。


本来の目的は、正確なデータ集計。

手段は、何でもいい。


Excel関数の方が正確なら、Excel関数を使えばいい。

生成AIの方が向いているなら、生成AIを使えばいい。


「最新のAIで」という理由で道具を選ぶのは、本末転倒だ。


ここまでの気づき

1. 生成AIは確率的、Excelは決定論的 同じ入力で同じ出力が保証されるかどうかの違い。

2. 「正解が一つ」なら決定論的ツール 計算、集計、論理処理は、Excelや関数の領域。

3. 道具は組み合わせて使う それぞれの得意領域で使い分けるのが適材適所。


次回

決定論的ツールには、検証可能性がある。

生成AIには、それがない。


「ブラックボックス」という問題。

AIが出した答えを、どうやって検証するのか。


次回: ブラックボックスのリスク ─ 検証できないものに依存する危険