Bayer Crop Science、Amazon Bedrockでエージェント型意思決定エンジンを構築
この記事の要点
Bayer Crop Scienceは、機械学習ワークフローの運用管理システムを補完する「Agentic Decision Engine(ADE)」を構築した。Amazon Bedrock AgentCoreを活用したマルチエージェント型の自然言語インターフェースで、ユーザーの質問を自動分類し、22のスペシャリストエージェントが対応する。導入初期段階で質問の約80%を自動解決し、トラブルシューティングの時間を1時間以上から10分未満に短縮した。現在100名以上が利用している。
Bayer Crop Scienceは、機械学習ワークフローの運用管理システム「Connected Decision Engine(CDE)」を補完する「Agentic Decision Engine(ADE)」を構築した。Amazon Bedrock AgentCore上で動作するマルチエージェント型の自然言語インターフェースだ。
ADEは、ユーザーからの質問を「スーパーバイザーエージェント」が分類し、適切な「スペシャリストエージェント」にルーティングする。現在、22のスペシャリストエージェントが稼働しており、導入初期段階でユーザーからの質問の約80%をエンジニアの介入なしで解決している。
トラブルシューティングの効率も大幅に向上した。従来は手動でログを確認し、1時間以上かかっていた診断が10分未満に短縮されている。現在、100名以上のユーザーが利用中だ。
CDEは、ゲノミクスやフィールド試験などのデータを扱うMLモデルのデプロイや監視を行う。ADE導入前は、ワークフローの失敗理由や結果の由来を特定するために、APIやログを個別に確認する必要があった。
システム構成にはLangGraphを採用した。データストアにはAmazon DynamoDBでチェックポイントを管理し、Amazon Aurora PostgreSQLでセッションを記録、Amazon OpenSearch ServerlessでRAGを実現している。
開発にあたってはAWS Unified Operationsの支援を受け、設計から本番稼働までTAMやDSEが関与した。設計上の主な判断は以下の5点だ。
-
オーケストレーション状態の外部化:DynamoDBへの書き出しにより、実行環境の再起動後も状態を保持する。
-
ID管理と認可の分離:Microsoft Entra IDとIAMを使い分け、各境界で適切な認証を行う。
-
モデル選択の制約:ツール呼び出しや構造化出力の互換性を重視してモデルを選定した。
-
ツールカタログのスコープ管理:エージェントごとに必要なツールのみを割り当て、トークン消費を抑制する。
-
複雑な機能のAgent化:可視化機能などを独立したエージェントとして実装した。
運用面では、タスクの成功・失敗を測定する監視体制を構築している。コスト管理にはAmazon Bedrockの推論プロファイルやリクエストメタデータを用い、エージェントごとのトークン消費量を可視化。プロンプトキャッシュの活用により、入力トークンコストを20〜30%削減した。
開発者にとっての意味
この発表で手元の実装は変えない。記事にある「80%の解決率」や「1時間から10分への短縮」は、比較対象や測定条件が不明であり、性能の向上とは断定できないからだ。
実装者にとって重要なのは、エージェントの設計思想だ。状態をDynamoDBへ外部化し、ツールをエージェントごとに限定する手法は、LangGraphを用いた既存の運用でも再現可能である。
経営者にとって、この事例は「既存のML基盤をAIで補完する」という構成の有効性を示す。ただし、コスト削減の根拠であるプロンプトキャッシュの活用や、エージェントごとのトークン消費可視化が、自社のワークフローでも同様に機能するかは未確定だ。まずは自社の推論コストと、エージェントの失敗率を正確に計測し直す必要がある。
出典
AWS Machine Learning Blog「How Bayer Crop Science built an agentic decision engine on Amazon Bedrock AgentCore with AWS Unified Operations」この記事は、出典元が公表した原文をもとに当社のAI編集部が日本語で再構成し、 公開前に人が確認したものです。原文の訳ではありません。 事実関係は出典(原文)で確認してください。
