#25分

流動の因数分解

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第2回:流動の因数分解

「うるさい → 不快 → 居たくない → 移動する」


なぜ人はうるさい場所から離れるのか

カフェで作業をしている。

隣のテーブルで、大声で電話する人がいる。気になる。集中できない。

しばらく我慢していたが、結局、席を移動した。

なぜ移動したのか。

「うるさかったから」─ それは答えになっていない。もっと分解してみよう。

うるさい → 不快 → 居たくない → 移動する

この連鎖が、流動の正体だ。


流動の因数分解

流動は、いきなり起きるわけではない。4つの段階がある。

刺激 → 感情 → 欲求 → 行動

一つずつ見ていこう。

1. 刺激

外部から入ってくる情報。五感で受け取るもの。

音、光、匂い、温度、触感。そして視覚的な情報(人、モノ、空間)。

さっきの例では「大きな声」が刺激だ。

2. 感情

刺激に対する内的な反応。

快、不快、興味、恐怖、安心、不安。

「大きな声」に対して「不快」という感情が生まれた。

3. 欲求

感情から生まれる「〜したい」「〜したくない」。

近づきたい、離れたい、知りたい、避けたい。

「不快」から「この状況から離れたい」という欲求が生まれた。

4. 行動(流動)

欲求を満たすための動き。

移動する、立ち止まる、近づく、離れる。

「離れたい」という欲求を満たすために、席を移動した。


具体例で分解してみる

この因数分解を、いくつかの場面で試してみよう。

パン屋の前を通りかかった

  • 刺激:焼きたてパンの匂い
  • 感情:快(いい匂い、おいしそう)
  • 欲求:食べたい、近づきたい
  • 行動:店に入る

夏の日差しの中を歩いている

  • 刺激:強い日差し、暑さ
  • 感情:不快(暑い、つらい)
  • 欲求:涼しくなりたい
  • 行動:日陰に移動する、店に入る

駅前で人だかりができている

  • 刺激:人だかり、何かやっている
  • 感情:興味(何だろう?)
  • 欲求:知りたい、見たい
  • 行動:近づく、立ち止まる

暗い路地がある

  • 刺激:暗さ、見通しの悪さ
  • 感情:不安、恐怖
  • 欲求:避けたい
  • 行動:別の道を選ぶ

どの例も、同じ構造だ。刺激 → 感情 → 欲求 → 行動。


逆算で設計する

この因数分解が分かれば、流動を「逆算」で設計できる。

「店に入ってほしい」

これがゴールだとする。逆算してみよう。

  • 行動:店に入る
  • 欲求:入りたい、近づきたい
  • 感情:興味、快、期待
  • 刺激:?

どんな刺激があれば、興味や期待が生まれるか。

  • いい匂いを出す(食欲、快)
  • 中が見える明るい店内(安心)
  • 人が入っている様子(社会的証明)
  • 「新商品」の看板(好奇心)

刺激を設計すれば、感情が生まれ、欲求が生まれ、行動(流動)が生まれる。

「立ち止まってほしい」

  • 行動:立ち止まる
  • 欲求:見たい、知りたい
  • 感情:興味、驚き
  • 刺激:?

どんな刺激があれば、興味や驚きが生まれるか。

  • 動きのあるディスプレイ(目を引く)
  • 実演販売(何をしているか気になる)
  • 意外な展示(驚き)
  • 声かけ(注意を引く)

逆算すれば、必要な刺激が見えてくる。


感情の方向が流動の方向を決める

感情には2つの方向がある。

ポジティブ感情 → 近づく流動

快、興味、期待、安心。いい匂いに近づく、人だかりに近づく。

ネガティブ感情 → 離れる流動

不快、恐怖、不安。うるさい場所から離れる、暗い道を避ける。

「近づかせたい」ならポジティブな刺激を。 「離れさせたい」ならネガティブな刺激を。 「止まらせたい」なら、その場を快適にする刺激を。


流動をコントロールする公式

ここまでをまとめると、流動をコントロールする公式が見えてくる。

流動 = 刺激 × 感情の方向

刺激が強ければ、感情も強くなり、流動も強くなる。

感情がポジティブなら、近づく流動。 感情がネガティブなら、離れる流動。

これを意識するだけで、流動の見え方が変わる。


自分の流動を分解してみる

今日一日を振り返ってみてほしい。

どこかに移動したとき、立ち止まったとき、道を変えたとき。

その行動を因数分解してみよう。

  • 何が刺激だったか
  • どんな感情が生まれたか
  • どんな欲求があったか
  • そして、どう動いたか

自分の流動を分解できるようになると、他人の流動も見えるようになる。


まとめ:3つの洞察

  1. 流動は4段階で起きる:刺激 → 感情 → 欲求 → 行動。この連鎖が流動の正体

  2. 逆算で設計できる:「入ってほしい」から逆算して、必要な刺激を設計する

  3. 感情の方向が流動の方向を決める:ポジティブなら近づく、ネガティブなら離れる


次回予告

流動の因数分解ができるようになった。

次は「刺激」をもっと深掘りする。

光、音、匂い、温度、人だかり。何が人を動かし、何が人を止めるのか。

具体的な刺激のカタログを見ていこう。