Anthropic、独自VCS「Scion」へ移行 Gitから5か月、CIのCPUを25%削減
この記事の要点
Anthropicは独自のバージョン管理システム「Scion」を構築し、モノレポをGitから完全に移行した。AIエージェントによるコード生成の急増で、1日のマージ数が3万件超へ増えてGitミラーが限界に達したためだ。常時接続のエージェントを前提に設計し、キャッシュヒット率は99%を超える。新構成によりインフラのフットプリントは200分の1に縮小し、CI全体のCPUキャパシティは25%削減された。社内特化のため外部提供の予定はない。
Anthropicは独自開発のバージョン管理システム「Scion」を構築し、モノレポをGitから移行した。5か月で完全移行を終え、CIや研究ジョブのコードチェックアウト時間を分単位から秒単位へ短縮した。
背景には、AIエージェントによるコード生成の急増がある。同社では1日あたりのマージ数が、2026年5月の約2,500件から9月には3万件超へ跳ね上がった。
メインブランチの履歴は100GB近くに達し、圧縮した作業コピーも25GBを超えた。CI用途だけで1日約2,500万回のチェックアウトが走り、単純計算で日600PB以上のトラフィックが生じていた。
数百台のGitミラーで対処していたものの、リポジトリの肥大化に伴い限界を迎えた。そこで常時接続されるエージェントやジョブを前提に据え、Scionを一から設計した。
Scionはリポジトリ全体の完全なコピーを持たず、データを分散配置する。作業単位はサーバー側で作る「チェンジセット」とし、変更差分とBlobストレージへのポインタだけを保持する。
バックエンドにはSpannerとクラウドストレージを採用した。ノードごとのデーモンとリージョンキャッシュによる階層化構造を取り入れ、キャッシュヒット率は99%を超える。
新システムへの移行により、CPUやメモリ要件を示すインフラのフットプリントは従来の200分の1に縮小した。負荷が減った結果、CI全体のCPUキャパシティも25%削減されている。
開発は7人のチームが担当し、コードレビューツール「Antique」を含めて5か月で構築した。開発過程では社内プレビュー版のClaude Mythos PreviewやClaude Tagを活用している。
取り込みパイプラインの試作版をClaude Mythos Previewで書き直した際は、メモリ消費が20分の1になり、速度は4倍へ改善したという。
なおScionの外部提供は予定していない。社内環境へ特化した構造であり、開発ライフサイクル全体の大幅な移行が必要になるため、公開は困難だと説明している。
開発者にとっての意味
手元の実装は変えない。Scionは外部提供が困難とされ、自社運用の選択肢がないためだ。仮に使えたとしても、コード生成とCIで1日3万マージや600PBの通信が生じる規模でなければ、今のGitで足りる。経営者は移行費用をかける必要がない。開発者にとっても、重みやコードが非公開である以上、影響は未確定だ。手元の構成を変えるのは、同等のVCSが公開され、差分管理の通信量と費用がGitを下回ると実測できてからでよい。パイプライン改善の数値も測り方は原文で触れておらず、判断材料にはならない。
4人で読み解く
記事の内容だけをもとに、担当のちがう4人(経営・開発・聞き手・運用)が話します。 記事に書かれていないことは話しません。
出典
Anthropic「Redesigning source control at Anthropic」この記事は、出典元が公表した原文をもとに当社のAI編集部が日本語で再構成し、 公開前に人が確認したものです。原文の訳ではありません。 事実関係は出典(原文)で確認してください。
